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2008年12月25日 木曜日  著者:

北方の武闘派 毘沙門天(多聞天)

毘沙門天とは

毘沙門天帝釈天【たいしゃくてん】に仕える仏法の守護神カルテット「四天王【してんのう】」。この4人組の中で北方の守備を固めるのが、今回紹介させていただく「毘沙門天【びしゃもんてん】」です。

「毘沙門」というのは、サンスクリット語での名前である「ヴァイシュラヴァナ」を音訳したものですが、これを意訳すると「人の話をよく聞く者」という様な意味になるので、そこから「多聞天【たもんてん】」とも呼ばれます。従って、「毘沙門天」と「多聞天」は全くの同一人物になりますが、日本では、独立して祀られているのを「毘沙門天」、四天王のカルテットに入っているのを「多聞天」と使い分けているケースが多く見られます。

インドにいた頃は福の神として祀られていましたが、中国〜日本へ渡ってくる過程で武闘派としての性格を強め、勝負事にご利益のある仏として祀られるようになりました。中国、朝鮮、日本あたりでは完全武装した武将の姿で表されますが、チベットではまだ福の神としての特徴を残しており、財宝を吐き出すイタチを小脇にかかえていたりします。じゃぁ福の神はそのイタチの方じゃないのか?という疑問もわいてきますが、毘沙門天の飼育方法に秘密があるという可能性も捨てきれません。あるいは、財宝を吐き出すイタチではなく、イタチ型の財布であるという線も捨てきれ…。どうでも良くなってきたので次にいきましょう。

北方を守護する」というキャラ付けからか、日本では東北地方に単独で祀られている事が多いようです。しかし、東北地方の人からしてみれば、自分のいる場所が北方の最前線であるという認識を持っていたわけでもなく、守護するのであれば、朝廷という一大勢力のある南側の守りを固めるのが自然であるように思われます。つまり、「北の守りを固める」というのは朝廷(近畿地方)から見て北側の地を守護するという意味で、東北地方の人たちを押さえつけるために祀られているのが東北の毘沙門天である。というようにも受け取れます。

毘沙門天の特徴

地天女四天王像(4人セットで祀られる)と独尊像(単独で祀られる)がある事は先にお話ししましたが、この他にも違ったパターンの祀られ方があり、そのパターンの多さが特徴と言えます。

例えば、地面から湧き出た女性の両掌に足を乗せて直立不動し、両脇に鬼を従える。というちょっと聞いただけではイメージしにくい特異なシチュエーションの毘沙門天がいます。これを「兜跋毘沙門天【とばつびしゃもんてん】」と呼びます。

その昔、西方に兜跋国【とばつこく】(現在のチベット、ウイグル自治区 等諸説あり)という国があり、敵に攻め入られて陥落寸前だった。もうダメかというその時、地面から地天女【じてんにょ】に押し上げられて毘沙門天が現れ、兜跋国を救った。

という古い伝説が元になって作られた像です。現代でもピンチを迎えていますね、兜跋国。もう一度現れないかな…。

この他にも、上司である帝釈天とセットになった像や、奥さんと子供を合わせた、一家団らん核家族セットも見られます。毘沙門天の奥さんというのは、同じ天部に所属する「吉祥天【きっしょうてん】」です。職場結婚ですね。子供は「善膩師童子【ぜんにしどうじ】」と呼ばれる童子像です。

また、七福神【しちふくじん】のメンバーとしてもおなじみです。宝船に一人だけ武装して乗り込むその姿は目立ちますね。ちなみに、現在は卒業していますが、奥さんである吉祥天も元七福神メンバーです。福禄寿の代わりに入っていました。どういったいきさつで卒業したのかは定かでありませんが、育児休暇でしょうか。

毘沙門天の見分け方

片手に宝塔を持った形で造形されることが多いので、これを目印にすれば比較的容易に見分けられます。四天王、独尊、兜跋毘沙門天、七福神、いずれの場合でもこの特徴は変わりません。

毘沙門天スペック

名称 毘沙門天【びしゃもんてん】多聞天【たもんてん】
サンスクリット名 ヴァイシュラヴァナ
所属ユニット 四天王 七福神 十二天
中尊・脇侍 「持国天【じこくてん】・増長天【ぞうちょうてん】・広目天【こうもくてん】」「吉祥天【きっしょうてん】・善膩師童子【ぜんにしどうじ】」「地天女【じてんにょ】・邪鬼」「夜叉【やしゃ】・羅刹【らせつ】」
変身・分身 -
お住まい 東大寺戒壇院・大仏殿 唐招提寺金堂 法隆寺 etc.
印・持物 戟 宝塔 棍棒 etc.
真言 オン・ベイシラマナヤ・ソワカ

毘沙門天に会いに行こう

著名な毘沙門天(多聞天)の仏像が安置されているお寺の一覧です。公開スケジュールは変更される場合がありますので、事前に各お寺に確認されることをおすすめします。

寺社名 通称(安置) 指定 住所 電話 ご開帳予定日
関西地方
法隆寺 (金堂) 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1 0745-75-2555  
東大寺 (戒壇院) 奈良市雑司町406-1 0742-22-5511  
唐招提寺 (金堂) 奈良市五条町13-46 0742-33-7900  
興福寺 (東金堂) 奈良市登大路町48 0742-22-7755  
興福寺 (北円堂) 奈良市登大路町48 0742-22-7755 春期(4月下旬〜5月初旬)
秋期(10月下旬〜11月初旬)
興福寺 (南円堂) 奈良市登大路町48 0742-22-7755 10/17

…国宝 …重要文化財  県・市…各自治体指定文化財
帝釈天

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