2009年1月16日 金曜日  著者:

じゃぁお薬出しときます 薬師如来

薬師如来とは

薬師如来3人目にご紹介する如来はこのお方、「薬師如来【やくしにょらい】」です。

前回紹介させていただいた阿弥陀如来は、西方極楽浄土の主で、死後の極楽浄土を約束してくれる仏ですが、今回の薬師如来は、東方瑠璃光浄土【とうほうるりこうじょうど】の主で、現世での病気平癒・安産祈願等、健康に関する身近な悩みを担当しています。また、そんなミニマムな個人の願いだけでなく、国の病(流行病から自然災害まで)をも治す力があるとされてます。

「〜薬師」というお寺の名前、あるいは地名や温泉の名前等を一度は耳にした事があるのではないでしょうか?日本国内では仏教が伝来してきた飛鳥時代からすでに信仰され、現在でも地名等でその名を耳にする事の多いポピュラーな存在の薬師如来ですが、意外な事に、他の仏教国ではほとんど作例がありません。
その理由はよく分かりませんが、日本に病が多かったのか、大陸の人は現世に未練がなかったのか…。

薬師如来の特徴

薬壷上の薬師如来のイラストを見て、「釈迦如来・阿弥陀如来と一緒じゃないか!使い回すな!」とお叱りの向きもありましょうが、実際お三方とも非常によく似た姿をしておられるのです。ですから、しょうがないじゃん!(唐突に逆ギレ)悟りを開くと、みな似た様な容姿になるのです。ほら、同じ職業の人はどこかしら似てたりするじゃないですか。そうでもないか。

それはいいとして(華麗に話題変更)、特徴として挙げられるものに「薬壷【やっこ】」があります。与願印を結んだ左手に持っているちっちゃい入れ物がそうです。物に対する執着が全くない(所有欲がない)と言われる如来シリーズにあって、薬師如来のように決まったアイテムを持っているというのは、異例中の異例、レアケースです。
この薬壷に入ったお薬で、ありとあらゆる病気を治してしまうのです。何にでも効くということは、中身は○ロナイン軟膏でしょうか。治るかもしれないからとりあえず塗っとけ系の薬ですね。きっと。

薬師如来の印最大の特徴は薬壷を持つというところですが、これを持たない像も数多くあります。元々は持っておらず、奈良時代の末期あたりにオロナ○ンを手に入れたようで、その頃から必須アイテムになりました。
が、薬壷を持つ以前の薬師如来にも特徴はあります。施無畏印と与願印という組み合わせは釈迦如来と同じですが、個性的な取り巻きを多く従えているのです。
まず薬師如来の脇侍【わきじ】である日光菩薩【にっこうぼさつ】と月光菩薩【がっこうぼさつ】のお二人。脇侍というのは、水戸黄門で言うところの助さん格さんの事です。薬師如来の助さん格さんは、菩薩の格好をしており、頭にそれぞれ太陽と月のシンボルをくっつけていたり、シンボルを手に持ったりしています。古い像ではシンボルを付けていないものもあります。日光・月光菩薩の最高傑作とも言われる東大寺三月堂(法華堂)の像はシンボルなしのパターンで、ちょっと見ただけではどっちがどっちだか分かりません。顔を覚えれば区別はつきますが、服装等からは判別できません。ちなみに、シュっとして男前な方が月光菩薩です。そんな事言われてもアレでしょうけども。
水戸黄門の脇侍では、印籠を持っている方が格さんです。そんな事言われてもアレでしょうけども(2回目)。

新薬師寺 伐折羅大将取り巻きはこのお2人だけではありません。その配下に12人の大将軍を従えており、彼らを「十二神将【じゅうにしんしょう】」とよびます。作例も多く、新薬師寺の十二神将像等が有名です。十二神将は、薬師如来と日光・月光両菩薩に比べて小さく造形される事が多いのですが、新薬師寺の像は12人全てがほぼ等身大(160cm前後)で造形されており、全員で円陣を組んでボスである薬師如来をガードしています。この迫力は必見です。
中でも伐折羅大将【ばさらたいしょう】(右イラスト。国宝指定名称は迷企羅大将【めきらたいしょう】)は500円切手のデザインに採用されていたり、スーパーサイヤ人のモデルになったり(髪型から勝手に予想)と、目にされた方も多いと思います。

十二神将は、それぞれがさらに7,000人の軍隊を率いております。それを全て合わせると、薬師如来ファミリーの人数は3+12+12*7000で、なんと84,015人。さすがにその全てを造形した作例はないと思いますが、病気と戦うというのは大変な事なのですね。やってる事は地球の白血球みたいな事ですから、そりゃぁ頭数も必要です。
ちなみに、自衛隊の人数は約26万人、世界一多い中国の人民解放軍は226万人(2006年現在)です。それを鑑みると、そう多くもないですね。でも、先の副将軍よりは多いファミリーだと思います。

薬師如来の見分け方

他の如来と見分けるには、左手の薬壷が最も有効でしょう。単尊で祀られる事は少ない像ですので、古い像で薬壷を持っていない場合でも、脇侍(日光・月光菩薩)と眷属(十二神将)で区別できると思います。
また、光背を見ると、7人の如来がくっついている事があります。これを七仏薬師【しちぶつやくし】といい、衆生を救うために薬師如来が変身した7パターンの如来であるとされています。これを目印にするのもいいでしょう。

薬師如来スペック

名称 薬師如来【やくしにょらい】 薬師瑠璃光如来【やくしるりこうにょらい】
サンスクリット名 バイシャジヤ・グル
所属ユニット 薬師三尊
脇侍 「日光菩薩・月光菩薩」十二神将
変身・分身 善名称吉祥王如来【ぜんみょうしょうきちじょうおう】
宝月智厳光音自在王如来【ほうげつちごんこうおんじざいおう】
金色宝光妙行成就王如来【こんじきほうこうみょうぎょうじょうじゅおう】
無憂最勝吉祥王如来【むうさいしょうきちじょうおう】
法海雲雷音如来【ほうかいうんらいおん】
法海勝慧遊戯神通如来【ほうかいしょうえゆげじんつう】
薬師瑠璃光如来【やくしるりこう】以上七仏薬師
お住まい 新薬師寺 薬師寺 仁和寺 神護寺 唐招提寺 etc.
印・持物 「施無畏印・与願印」薬壷
真言 オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ

薬師如来に会いに行こう

著名な薬師如来の仏像が安置されているお寺の一覧です。公開スケジュールは変更される場合がありますので、事前に各お寺に確認されることをおすすめします。

寺社名 通称(安置) 指定 住所 電話 ご開帳予定日
東北地方
勝常寺   福島県河沼郡湯川村勝常代舞1764 0241-27-4566  
中部地方
願興寺   岐阜県可児郡御嵩町御嵩1377-1 0574-67-0386  
関西地方
法隆寺 (金堂) 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1 0745-75-2555  
法隆寺 (大講堂) 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1 0745-75-2555  
唐招提寺 (金堂) 奈良県奈良市五条町13-46 0742-33-7900‎  
新薬師寺   奈良県奈良市高畑町1352 0742-22-3736  
薬師寺 (本堂) 奈良県奈良市西ノ京町457 0742-33-6001  
元興寺   奈良県奈良市芝新屋町12 0742-22-5218  
神護寺   京都府京都市右京区梅ヶ畑高雄町5 075-861-1769  
仁和寺 (霊明殿) 京都府京都市右京区御室大内33 075-461-1155  
醍醐寺 (霊宝館) 京都府京都市伏見区醍醐東大路町22 075-571-0002  
獅子窟寺   大阪府交野市私市2387 072-891-6693  

…国宝 …重要文化財  県・市…各自治体指定文化財
阿弥陀如来

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