2008年12月11日 木曜日  著者: 山田八王子

読売新聞

広島女児殺害 拙速な審理が指弾された(2008/12/11 読売新聞の社説)

  • 広島市で2005年11月、小学1年女児が殺害された事件のペルー人被告に対する控訴審で、広島高裁は、無期懲役とした1審判決を破棄し、広島地裁に審理のやり直しを命じた。
  • 「審理が尽くされていない」というのが理由である。
  • 被告は、いたずら目的で女児を絞殺し、遺体を空き地に遺棄したとして起訴された。
  • 初公判前に計8回、裁判官、検察官、弁護人が争点を絞り込むための公判前整理手続きが行われた。
  • 公判は、5日連続の集中審理などを経て結審し、51日にして判決が言い渡された。
  • 高裁が、最も問題視したのは、犯行現場を特定しないまま、被告を無期懲役としたことだ。
  • さらにペルーでの前歴資料を「判決に至っていない」として無視した点も、それが女児2人への性的犯罪であった以上、量刑判断で考慮すべき証拠だとした。
  • この(公判前整理)手続きは、裁判員制度導入にあたり、裁判員に争点をわかりやすくし、裁判の迅速化を図るために取り入れられたものだ。
  • ただ、裁判官、検察官、弁護人による協議は、非公開で行われるため、手続きが適正かどうか、外部からチェック機能が働かないという批判がある。
  • 裁判の迅速化は必要としても、それによって審理が拙速に終わってはならない。

年金記録改ざん 徹底的に“社保庁体質”を絶て(2008/12/11 読売新聞の社説)

  • 日本年金機構の発足まで、あと1年余りとなった。
  • 新組織に、社会保険庁の悪(あ)しき体質を引き継いではならない。
  • 厚生年金の記録改ざんは、単なる事務の怠慢とは次元が異なる。
  • 多くの場合、経営の苦しい企業が、従業員の給料を低く申告したと見られる。
  • 事業主は本来納めるべき保険料が安くなり、従業員から天引きした保険料も流用できるためだ。
  • これを社保庁職員が黙認したばかりか、指導までしていた疑いもある。
  • 刑事責任を問うべきは、きちんと問いただす必要があろう。
  • 社保庁で横行していた、組合活動へのヤミ専従問題も同様だ。
  • 甘い追及で終わらせては、日本年金機構に社保庁の病根が残りかねない。
引用元:YOMIURI ONLINE

日経新聞

一般財源化に逆行する道路の新交付金(2008/12/11 日経新聞の社説)

  • 政府・与党が地方の道路整備などに充てる1兆円程度の新たな交付金の創設を決めた。
  • 2009年度から道路特定財源を一般財源化する政府のこれまでの方針を事実上、反故(ほご)にする内容だ。
  • 新交付金の名前は「地域活力基盤創造交付金」というらしい。
  • 地方経済は疲弊しているから魅力的な響きがするが、その使い道の大半はこれまでと同じく道路に限るので、実際には何も変わらない。
  • 政府は道路財源の全額を一般財源化する方針だったのだから、地方向けのお金も自治体が自由に使い道を決められないとおかしいのではないか。
  • 国土交通省が11月下旬にまとめた交通量の新たな将来推計によると、これまで右肩上がりとみていた交通需要が今後減少する見通しになった。
  • 経済情勢からみて景気対策が必要としても、通行量が極端に少ない道路をつくるためにお金をばらまいても効果は小さい。
  • 新交付金の創設は自民党の道路族の主張に麻生首相が押し切られたことを意味する。
  • 国民が麻生首相の指導力に厳しい視線を向けるのも無理はない。

「学力トップ水準」は本物か(2008/12/11 日経新聞の社説)

  • 「学力低下に歯止めがかかった」と文部科学省は評価しているが、本当だろうか。
  • 小学校4年生と中学校2年生が算数・数学と理科の問題に挑んだ2007年の国際学力テスト(TIMSS)の結果である。
  • たしかに順位では世界トップの水準を維持し、上昇の兆しも見える。
  • しかし授業で見慣れない問題となると大きく劣るし、勉強への意欲も低い。
  • 「勉強が楽しいか」という問いへの肯定的な答えは、小四の理科を除き国際平均を下回っている。
  • 新しい学習指導要領では主要教科の授業時間数を増やすなど「ゆとり」路線からの転換色が強まるが、肝心なのは量ではなく授業や学習の質だ。
  • 知識やパターンを詰め込むだけでなく、柔軟な発想で問題を処理する能力をどう育てるか。
  • そのためには文科省による画一的な教育システムを改め、地域や現場にもっと権限と責任を委ねる必要もあろう。
引用元:NIKKEI NET

朝日新聞

ソニー人員削減―日本型経営の意地見せよ(2008/12/11 朝日新聞の社説)

  • (ソニーは)本社や国内外の工場で働く正規社員16万人のうち5%にあたる8千人、派遣や請負の非正規労働者8千人以上の計1万6千人以上を1年余りの間に減らすという。
  • トヨタ自動車も期間従業員など3千人を減らす方針だ。
  • 自動車や電機などすそ野の広い産業による人減らしの動きはすさまじい雇用悪化の連鎖を呼びかねない。
  • 10年前、米格付け会社から「終身雇用の維持が競争力を弱める」として格下げされたトヨタが猛反発し、大論争になったことがあった。
  • 結局、5年後に終身雇用を含めてトヨタ経営が再評価され、最高格付けに戻った。
  • 雇用は経営の「調整弁」ではない。だから人員削減に安易に乗り出さない。
  • そういう社会的責任にこだわるのが「日本型経営」の良き伝統だった。
  • 雇用に手をつける前にやるべきこと、挑むべきことがあるはずだ。
  • 日本の経営者たち、今こそ意地の見せどころだ。

福祉の財源―先送りはもう許されぬ(2008/12/11 朝日新聞の社説)

  • 基礎年金の国庫負担割合を、予定通り来年4月から2分の1へ引き上げることがようやく決まった。
  • 引き上げに必要な年間2.3兆~2.5兆円の資金を、政府・与党は来年度、財政投融資特別会計のいわゆる「埋蔵金」からひねり出すとしている。
  • 2年目以降はどうするつもりなのか。
  • 高齢化が進むのに伴い、医療や介護にかかる費用もこれから膨らんでいく。
  • 政府の社会保障国民会議は、社会保障の支出が国と地方合計で08年度の27兆円から、15年度には43.5兆~44.3兆円へ急増すると試算している。
  • 次の総選挙を意識して、与党内では、たとえ将来のことでも増税を打ち出すのはできるだけ避けたい、という空気が強まっている。
  • 引き上げ時期についても、首相は「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と明言していたが、求心力の低下は目を覆うばかりだ。
  • 「私は逃げない」と麻生首相は言うなら、説得力のある目標を掲げて見せたらどうか。
  • さらにそれを閣議決定し法案として国会へ出すことだ。
引用元:asahi.com

産経新聞

ソニー人員削減 雇用安定に官民で知恵を(2008/12/11 産経新聞の主張)

  • ソニーが主力のエレクトロニクス事業の従業員を世界全体で1万6000人削減する大規模なリストラ策を発表した。
  • ほかのグローバル企業も、リーマン・ブラザーズが9月に破綻(はたん)して金融危機が深刻化して以降、早期のリストラに動き出している。
  • だが、減産と同時に解雇というリストラの動きの広がりはあまりにも急すぎないか。
  • 雇用が不安になれば、消費が減って景気は悪化する。
  • 企業の雇用削減の動きを受けて、与党は今後3年で2兆円規模の新たな雇用対策事業を打ち出した。
  • 政府は緊急雇用対策本部を厚労省内に設置して、可能な対策からすぐに実施に移すという。
  • 失業によって社員寮から出て行かざるを得なくなった場合に、雇用促進住宅への一時入居などの措置を講じる対策は早急に実施してもらいたい。
  • 失業給付の条件を緩和するなどの措置も急務だ。
  • 雇用維持は社会の安心と安全に欠かせない。

女児殺害判決 裁判員制の教訓としたい(2008/12/11 産経新聞の主張)

  • 死刑判断か、1審通り無期懲役になるか注目された広島市安芸区の小1女児殺害事件の2審判決は、広島高裁が1審判決のずさんさを指摘し、同地裁に審理のやり直しを命じるという予想外の判決を下した。
  • 1審は、来年5月21日から始まる裁判員制度のモデルケースとされ、裁判迅速化のため争点を絞り込む「公判前整理手続き」や連日開廷による集中審理方式が実施された。
  • その結果、重大事件では約50日で判決が言い渡されるという異例の早さで終結した。
  • 半年後に迫った裁判員制度に向け、裁判所、検察側は詳しく2審判決の内容を検証し、同制度運用への教訓とすべきだ。
  • 広島高裁は判決理由で、「審理不尽の違法があり、事実認定にも疑問がある」とまで言及した。
  • 裁判迅速化は必要だが、1審判決のような雑な審理では、せっかくの裁判員制度を崩壊させることにもなりかねない。
  • 同制度が始まり、今回のようなやり直し裁判となれば、また新たな裁判員を選んで審理する。
  • これでは裁判員の負担、不安は増し、制度の意味はなくなる。

毎日新聞

広島女児殺害判決 裁判員裁判の課題一掃を(2008/12/11 毎日新聞の社説)

  • 広島市で3年前、小学1年の女児が殺害された事件で、ペルー人の被告に広島高裁が下した判決だ。
  • 無期懲役刑に処した広島地裁判決を「審理を尽くしておらず違法」として破棄し、審理を地裁に差し戻した。
  • 1審は裁判員裁判のモデルケースとされ、集中審理によって約2カ月で判決を下した。
  • 検察側、弁護側とも控訴理由は量刑不当で、1審の審理の進め方についての主張はなかったが、高裁は職権で「裁判の予定を優先するあまり、公判前整理手続きを十分せずに終結させた」と断じた。
  • 高裁判決が、地裁で被告の全供述調書を却下したことを「誠に不可解」と述べた点にも注目したい。
  • 従来の刑事裁判は自白の任意性、信用性が争われると長期化するため、迅速化が求められる裁判員裁判では自白の評価は争点にしたくないテーマとされる。
  • 整理手続きについては、むしろ弁護側がえん罪や捜査ミスを見逃しかねないという指摘もあり、検討すべき点は少なくない。
  • 裁判員制度のスタートは半年後に迫る。
  • 高裁判決が指摘するように、拙速のあまり審理が粗雑になる事態は許されない。
  • 関係者は、禍根を残さぬように整理手続きの改善など詰めの作業を急いでほしい。

ソニー大リストラ 雇用への北風が吹きすさぶ(2008/12/11 毎日新聞の社説)

  • (ソニーは)液晶テレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス事業について、全世界で計1万6000人以上の従業員を09年度末までに削減するという。
  • 国内外の製造拠点は57カ所あり、そのうちの5~6カ所を閉鎖する。
  • エレクトロニクス事業の正規社員は16万人で、その5%に当たる約8000人と、派遣社員など非正規雇用の従業員8000人以上が人員削減の対象となる。
  • ネットカフェ難民やホームレスの増大を防ぐため、政府は対策を急ぐべきだ。
  • 企業側にも柔軟な対応を求めたい。
  • 業績不振はソニーに限ったことではない。
  • メーカーが多過ぎるとかねて指摘されてきた日本の家電産業にとって、今回の世界的な不況が、集約・再編を促すかもしれない。
  • ピンチをばねにして、日本の家電産業が再起することを期待したい。
引用元:毎日jp

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